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航空用語集:飛行の用語 32 語をやさしく解説

要点

この用語集では、航空の用語 32 語を、パイロットや航空管制が使う英語の言葉とあわせて、やさしく説明します。翼が飛ぶしくみから、操縦装置と計器、離陸と着陸、横風、ILS 進入、自動化、緊急事態までを扱います。

用語

迎角(angle of attack)

迎角は、翼と向かってくる空気との間の角度です。角度が大きいほど揚力は増えますが、それは臨界迎角までです。それを超えると、速度に関係なく翼は失速します。

揚力(lift)

揚力は、空気が翼のまわりを流れるときに翼が生む力で、飛行経路に対して直角に働きます。水平飛行では重さと釣り合います。対気速度と迎角とともに、失速するまで増えます。

失速(stall)

失速は、翼が臨界迎角を超えると起きます。気流が翼からはがれ、揚力が急に減ります。どんな速度や姿勢でも起こりえ、エンジンではなく翼の問題です。

失速警報(stall warning)

失速警報は、翼が失速する前に、臨界迎角に近づいていることを知らせます。ホーン、ライト、操縦桿の振動、バフェットなどの形があります。対応は迎角を減らすことです。

フラップ(flaps)

フラップは翼の後縁にあるヒンジ付きの板で、パイロットが出すと揚力と抗力が増えます。機体がより遅く飛び、着陸のためにより急な角度で降下できるようにし、巡航では上げておきます。

トリム(trim)

トリムは、パイロットが本来なら操縦装置にかけ続けなければならない一定の力を取り除き、機体が選んだ姿勢を自分で保てるようにします。パイロットはまず姿勢を決め、それからトリムを取ります。

ピッチ(pitch)

ピッチは機首の上下の動きで、翼端から翼端へ通る横軸まわりの回転です。パイロットはエレベーターで操作します。ピッチ姿勢は、機首が水平線よりどれだけ上か下かを表します。

ロール(roll)

ロールは、機首から尾部へ通る縦軸まわりの回転で、片方の翼を下げ、もう片方を上げます。パイロットはエルロンで操作し、機体はバンクすることで旋回します。

ヨー(yaw)

ヨーは垂直軸まわりの回転で、機首を左右に振ります。パイロットはラダーペダルで操作しますが、主な目的は旋回で向きを変えることではなく、釣り合いの取れた飛行を保つことです。

エレベーター(elevator)

エレベーターは水平尾翼にある可動の舵面で、ピッチを操作します。操縦桿を手前に引くと機首が上がり、前に押すと機首が下がります。

エルロン(aileron)

エルロンは左右の翼端近くにある可動の舵面で、互いに逆向きに動いて機体をロールさせます。操縦輪を左に回すか操縦桿を左に倒すと、左翼が下がり、左旋回が始まります。

ラダー(rudder)

ラダーは垂直尾翼にある可動の舵面で、ペダルで操作し、機首を左右にヨーさせます。パイロットは釣り合いの取れた飛行を保つためや、横風の中で機首を滑走路に合わせるために使います。

スロットル(throttle)

スロットルは、エンジンが出すパワーを設定する操縦室のレバーです。前に出すと増え、後ろに引くと減ります。増えたパワーは、ピッチ姿勢によって速度の増加にも上昇にもなります。

対気速度(airspeed)

対気速度は、まわりの空気に対する機体の速さで、ふつう速度計にノットで表示されます。翼の揚力はこれで決まり、風があるときは地面に対する速さとは異なります。

昇降率(vertical speed)

昇降率は、機体がどのくらいの速さで上昇または降下しているかを表し、昇降計にフィート毎分で表示されます。水平飛行ではゼロ、上昇中はプラス、降下中はマイナスになります。

姿勢指示器(attitude indicator)

姿勢指示器は、小さな機体のシンボルと人工水平線で、機首が水平線より上か下か、翼がどれだけ傾いているかを示します。計器飛行の基本となる計器です。

ローテーション(rotate)

ローテーションとは、離陸滑走中に機体がローテーション速度に達したら機首を上げ、翼が機体を滑走路から浮かび上がらせるようにすることです。パイロットは操縦桿をなめらかに引き、浮揚の姿勢にします。

フレア(flare)

フレアは着陸の最後の段階で、滑走路のすぐ上でパイロットが機首を少しずつ上げ、降下率と速度を減らします。機体はそのあと、ふつう主輪から、滑走路に静かに接地します。

場周経路(traffic pattern)

場周経路は、航空機が安全に順序よく離着陸するために空港のまわりを飛ぶ、標準的な長方形の経路です。各辺はアップウインド、クロスウインド、ダウンウインド、ベース、ファイナルで、ICAO では aerodrome traffic circuit と呼びます。

最終進入(final approach)

最終進入(ファイナル)は進入の最後のまっすぐな部分で、滑走路の中心線に合わせ、滑走路へ向かって降下します。場周経路ではベースに続き、計器進入では進入図に示された地点から始まります。

ゴーアラウンド(go-around)

ゴーアラウンドとは、進入や着陸をやめて上昇することです。失敗ではなく通常の操作で、進入が安定していないときや、そのまま着陸を続けるのが安全でないときにはいつでも行われます。

横風(crosswind)

横風は、滑走路や機体の経路に沿ってではなく、横切って吹く風です。機体を横へ押すので、パイロットは離陸と着陸でこれを修正します。場周経路の一辺の名前(クロスウインド)でもあります。

クラブ(crab)

クラブとは、地面に対する機体の航跡がまっすぐになる分だけ、機首を横風の風上に向けることです。接地前には、車輪が横向きに接地しないよう、機首を滑走路に合わせなければなりません。

横滑り(sideslip)

横滑りでは、パイロットが風上側の翼を下げ、反対側のラダーで機首をまっすぐに保ち、機体が流されないようにします。横風着陸では、接地まで機体を滑走路にまっすぐ合わせておけます。

ILS(計器着陸装置)

ILS(計器着陸装置)は、地上からの電波のビームで航空機を滑走路へ誘導します。ローカライザーが左右の、グライドスロープが上下の誘導を与え、操縦室の計器に表示されます。

ローカライザー(localizer)

ローカライザーは ILS のうち、滑走路の中心線に沿った左右の誘導を与える部分です。機体がその線の左右どちらにいるかが表示され、オートパイロットはそれに従うことができます。

グライドスロープ(glideslope)

グライドスロープは ILS のうち、上下の誘導を与える部分です。滑走路から約 3° で上っていく電波のビームで、機体が正しい降下経路より上か下かを示します。

決心高(decision height)

決心高は、ILS などの精密進入で、パイロットが判断しなければならない滑走路の上の高さです。必要な目視物標が見えていれば進入を続け、見えなければただちにゴーアラウンドします。

オートパイロット(autopilot)

オートパイロットは、パイロットが選んだ高度、針路、昇降率、コースを保つよう、舵面を自動で動かします。作業の負担を減らしますが、パイロットはその動作を監視しなければならず、解除することもできます。

オートスロットル(autothrottle)

オートスロットルは、選んだ対気速度を保つため、あるいは計画した上昇や降下に機体が乗れるよう、エンジンの推力を自動で調整します。これがなければパイロットが手でパワーを設定し、あってもエンジンの監視は続けます。

FMA(フライト・モード・アナンシエーター)

FMA(フライト・モード・アナンシエーター)は、オートパイロットとオートスロットルがいまどのモードを使っているか、次にどのモードがアーム中かを示します。乗務員は変化のたびに確認します。自動化が実際に何をしているかを示すのは FMA だからです。

Mayday(メーデー)

Mayday は国際的な無線の遭難呼出しで、通報の最初に 3 回言います。重大で差し迫った危険があり、ただちに助けが必要なことを意味し、ほかのすべての無線通信より優先されます。

出典

リンク先の出典は英語です。

  1. 『操縦士航空知識ハンドブック』(FAA-H-8083-25C)、用語集 (FAA)
  2. 『操縦士航空知識ハンドブック』第 5 章:飛行の空気力学 (FAA)
  3. 『操縦士航空知識ハンドブック』第 6 章:飛行操縦装置 (FAA)
  4. 『操縦士航空知識ハンドブック』第 8 章:飛行計器 (FAA)
  5. 『飛行機操縦ハンドブック』(FAA-H-8083-3C)第 3 章:基本的な飛行操作 (FAA)
  6. 『飛行機操縦ハンドブック』第 4 章:エネルギー管理 (FAA)
  7. 『飛行機操縦ハンドブック』第 5 章:航空機の制御の維持(失速と失速警報) (FAA)
  8. 『飛行機操縦ハンドブック』第 6 章:離陸と出発上昇 (FAA)
  9. 『飛行機操縦ハンドブック』第 8 章:空港の場周経路 (FAA)
  10. 『飛行機操縦ハンドブック』第 9 章:進入と着陸 (FAA)
  11. 『飛行機操縦ハンドブック』、用語集 (FAA)
  12. 『パイロット/管制官用語集』(AIM)、C の項 (FAA)
  13. 『パイロット/管制官用語集』(AIM)、D の項 (FAA)
  14. 『パイロット/管制官用語集』(AIM)、F の項 (FAA)
  15. 『パイロット/管制官用語集』(AIM)、G の項 (FAA)
  16. 『パイロット/管制官用語集』(AIM)、I の項 (FAA)
  17. 『パイロット/管制官用語集』(AIM)、L の項 (FAA)
  18. 『パイロット/管制官用語集』(AIM)、M の項 (FAA)
  19. 『パイロット/管制官用語集』(AIM)、T の項 (FAA)
  20. 『航空情報マニュアル』(AIM)第 6 章第 3 節:遭難および緊急時の手順 (FAA)
  21. 『先進アビオニクス・ハンドブック』(FAA-H-8083-6) (FAA(GovInfo 掲載))
  22. アドバイザリー・サーキュラー(AC)120-71B『標準運用手順とモニタリング・パイロットの任務』 (FAA)
  23. ICAO PANS-ATM(Doc 4444)チェックリスト、定義 (EASA)

この解説について

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